[3]ブラックラグーン2と野菜 [ 2016/2/28 ] |
※画面上部中央、残りARTゲーム数「1034G」
『へい野菜。 今夜のパーティーは少し遅れるってジェニーに連絡を入れておかなくちゃな。』
『ああ、遅刻で済めばいいがこりゃ欠席になりそうだ。』
冷静を装ってはいるが、完全に脳みそがおかしい。
おかしくなってしまった。
ヘブンズラッシュ中のあの煽りに煽ってくる音楽と、けたたましい上乗せの音で俺の脳みそは完全におかしくなってしまった。
そして脳みそがおかしくなった俺は、ひとつの真理にたどり着いた。
それは、
『ブラクラ半端ねえ』
これだけだった。
自身初のスーパーヘブンズラッシュに続き、自身初の四桁乗せ。
これにともない、私は今日で「引き弱」の卒業を宣言する。
今まで舐めてきた辛酸はこの日の為にあった。
引き弱クズ養分(萌え豚)と罵られていても諦めないでよかった。
感慨に浸ると同時に俺はあることに気付いた。
いや、必然的にそう思った。
万枚あるで
思えば、長い時間をパチスロと過ごしてきている。
そしてその分、多くのマネーをコイツに突っ込んできた。
返ってくることのない貯金箱と知りながら。
それなのに俺は、一度も万枚を記録したことがない。
おれには縁のない話、そういうことが出来る奴等はある意味生まれもっての才能なのだと。
そう自分に言い聞かせてきた。
しかしそのチャンスが巡ってきた。
万枚を狙えるチャンスが。
しかしその時、おれにはひとつの不安があったのだ。
『……どうやら俺は人生の大きなターニングポイントに差し掛かったらしい。』
『ああそうだとも! とんでもねえビッグチャンスだ! そして今日のお前はクレイジーだ! とことんやってやれ!』
『……確かにな。』
ご機嫌な友人に反して、おれの表情は少し曇っていた。
『おいおいどうした、浮かない顔して! 何か不満でもあるのか? それとも腹でも壊したのか?』
『いや違うんだ。 そうじゃない。 満足さ。 この状況で不満を言うヤツなんざこの街にはいやしねぇよ。』
『ああ? じゃあなんだっていうんだ!』
『……不安なんだ! この馬鹿乗せしたG数をもってして3000枚位で終わってしまったらと思うと、おれは怖くてレバーを叩くことができねぇんだ!』
『バカも休み休み言え! 下らねえこと言ってねぇでさっさと打ちやがれ! くそったれ! おれはもう行くぜ、このあとマリアとのデートがあるからな。』
『……そうか、楽しんできてくれ。 じゃあな。』
『フンッ』
そういうとヤツは、電話をかけながら店から出ていってしまった。
心細いが仕方がない。
パチスロはいつだって自分と台との勝負なんだ。
いくら寂しく心細くてもやるしかねえんだ。
どれくらいたった頃だろうか。
しばらくARTを消化していると、右隣のマクロスの下皿にメダルが数枚投げ込まれた。
そのメダルを投げ込んだ人物を見上げると電話をしていたんだ。
『あーもしもしマリアか? すまねぇが、今日のデートはキャンセルだ。 ああ? 仕方ねぇだろ! デートより大事な用事が入っちまったんだよ! じゃあな!』プチッ
友人だった。
『……おまえ。』
『…あー、てめぇみたいなヘタレ野郎が万枚を出すところを見てみたい。 これが理由じゃダメかい? まあそういうことだ、最後まで付き合うぜ相棒。』
そう言うと友人は、ガキの様な照れ笑いをしながらバカみたいな履歴のマクロスを打ち始めた。
『……くそっ、お前は最高の大バカ野郎だ! ……よろしく頼むぜ相棒。』
こうして俺は万枚のチャンスを掴んだわけだった。
だがまだ指先に掛かったにすぎない、これからの展開が重要になってくるのは言うまでもないだろう。
長くなったので今回はこの辺で失礼しようと思う。
そう、まさかの2部構成だ。
次回、
「ブラックラグーンはチョコラテだ。」
次も見てね。
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