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ゴーストスロッター 第27話



■ 第27話 ■

21:55。
すなわち、設定発表5分前。

この時点での出玉は、

・優司 : 約1200枚(投資22000円)
・真鍋 : 約3300枚(投資2000円)

という状況。

一見すると、真鍋の方が有利に見える。
しかし、真鍋の表情に余裕はなかった。

なぜならば、昼頃の優司との接触の後、連続で600G越えのハマリを3連続で喰らってしまったのだ。

その後も、コンスタントに600G越えのハマリ&即連チャンを繰り返し、不安定なスランプを描いていた。

これにより、真鍋の台が設定6だという可能性はほぼなくなったと言っていい。

このことには、本人も気づいていた。
だからこそ表情に陰りが見えるのだが。

対する優司。
相変わらず出玉はショボいが、その表情に依然余裕がある。

BIG中のベル判別もそうだが、それ以上に自分が仕掛けた戦略への自信がそうさせるのだ。

「これより、恒例の設定発表を行います!
  ただ今から当店店員がサービス台に札をつけていきますので、設定のご確認を希望するお客様は、
  札が刺さりました時に申告お願い致します!」

店内に勢いよく鳴り響く案内マイク。
ついに設定発表の時間となった。

設定発表は4階から行なわれ、しかも4階の発表は新台コーナーから順番に行われる。
中でも、真鍋の座るボンパワは最もハジにあるシマなので、まず最初の発表コーナーとなる。

真鍋は、祈るような気持ちで店員が自分の後ろで立ち止まるのを期待した。

「(頼むッ!
  確かに可能性は低いとはいえ、パチスロは何があるかわからないッ!
  こんな台でも、もしかしたら6かもしれないんだッ・・・・)」

だが、願い虚しく真鍋の台を素通りしていく店員。

そして、札が刺さったのはシマの右端に位置する台だった。

「(なッ!?!? ハ、ハジ台だと!?!?)」

『シルバー』で唯一のものと思われていた「ハジ台には滅多に6を置いてこない」という特徴。

しかし、「滅多に」はあくまで「滅多に」なのだ。
逆に言えば、「起こる時は起こる」ということを意味する。

「(う、嘘だろ・・・・・・)」

呆然とする真鍋。

「(・・・・・ハジ台は完全に眼中になかった。
  ってことは、俺の今日の台選びは、最初から当たりのないクジを引いてるようなモンだったのか・・・)」

6をハズしたこともショックだが、それ以上に、最初に選択肢から除外していたような台が6だったことの
方が遥かにショックだった。

だが、落ち込んでばかりもいられない。

「(まだだ・・・・ まだ引き分け再勝負の可能性が残ってる!
  あんな旧台コーナーなんかであっさりと6をツモれるもんかよッ!!)」

そう思うやいなや、早足で旧台のシマへと向かった。


**********************************************************************


発表が始まって3分が経過。
真鍋は、旧台コーナーの端に立ち、優司の台の様子を伺っていた。

「(・・・・出玉的には到底6には思えねぇな。
  でも、朝のアイツの自信がやけに気になる・・・・)」

どうしても腑に落ちない朝の優司の行動。

なぜあんなに台選びに時間をかけていたのか?
しかもそのあと、この読みにくいホールを相手に、なぜあそこまで自信たっぷりでいられたのか?

そんなことを考えていると、いつの間にか優司の台付近に店員が立ち止まっていることに気づいた。

「え!? ま、まさかッ・・・・・」

真鍋の悪い予感は的中した。

淡々と打ち続ける優司の台に、見事に刺さる設定6の札。

真鍋は、反射的に優司のところへ駆け寄っていた。

「ちょ、ちょっと待ってくれ店員!
  ここの設定確認を頼む! できるんだろッ!?」

本人でもないのに、いきなり凄い剣幕で設定確認を迫られ、やや焦る店員。

「え・・・ あ、できますけど・・・
  一応ご本人様からの申告がないと・・・・」

「するよな夏目!?」

「・・・・・・ああ、別にいいよ。」

無表情のまま素直に応じる優司。
それを受け、店員に「早く確認を!」と迫る真鍋。

設定キーが台に差込まれ、設定が表示された。
もちろん、そこに表示されたのは「6」。

それを確認し、静かに口を開く優司。

「・・・・・もういいかい?」

「・・・・・・・・・・」

信じがたい、というような表情を浮かべながら固まる真鍋。

「落ち込んでるとこ悪いけどさ、俺の勝ちってことでいいんでしょ?」

「・・・・・・・・・・」

真鍋も頭ではわかっているのだが、敗北を認める言葉がなかなか出てこない。

そんな様子を見て、再び真鍋に声をかける優司。

「とりあえず外に出ようよ。」

「・・・・・わかってる、わかってんだよそんなこと・・・・・・」

なんとか事態が飲み込めてきたのか、ようやく真鍋は身体を動かした。
 

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